突然聞こえてきた声はエルネストさんのものだ。
姿は見えない。不思議と声だけが天から降ってきて、そちらを見上げる。
『君の歌と、彼の歌がお互いの世界を引き寄せたんだ』
「え……?」
私の歌と、ラグの歌が……?
「それって、二人の歌があれば、またいつでもこっちとあっちの行き来が出来るってことか?」
アルさんが手振りを交えながら驚くように言って、私も驚く。
エルネストさんのクスクスという笑い声が響いて、それっきり彼の声は聞こえなくなった。
……そんな都合良くいっていいのだろうか。
(でもそれなら、お母さんやお父さんともまたいつでも会えるし、歌の先生も目指せるけど)
「だーかーら、」
頗る低い声が背後から迫って。
「もう帰す気はねぇって言ってんだろうが!」
「ひぇ!?」
ガバっと後ろから抱きしめられて心臓が飛び上がる。
「ラ、ラグ!?」
そのまま彼は私を引きずるようにしてボスンっとベッドに腰を下ろした。
私はそんな彼の膝の上に座るかたちになって、嫌ではないけれど、皆の前でめちゃくちゃ恥ずかしかった。……小さなラグもいつもこんな気持ちだったのだろうか。
なんとかその腕から出ようとでもがいていると、ラグが不機嫌そうに言う。
「もういいだろ、お前ら早く出てけよ。ここはオレの部屋だっつーの」
「今私たちが出て行ったら貴様カノンに何する気だ」
セリーンがまた半眼になっていた。



