My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】


「おい」
「え?」

 見上げると不機嫌そうな瞳とぶつかって、ハタと我に返る。

(記憶を取り戻すためにって……)

 未だに私は彼の腕の中にいて、急に落ち着かなくなる。

「えっと、じゃあ、私のこと全部……?」
「あぁ、全部思い出した」

 全部、ということは。

(もしかしてあの告白も……?)

 そういえばさっき、彼は私に何と言っただろう。

 ――大好きってなんだよ!

「カノン?」

 途端どうしようもなく恥ずかしくなって、私は彼の腕から抜け出して距離を取る。

「――あ、あの最後の言葉は、あの場にいたみんなに向けて言った言葉で」

 我ながら苦しいと思いながらもそう言うと、ぴくりと彼は片眉を上げた。

「今更んなこと言ったって遅ぇからな」

 怖い顔で近づいてくるラグから私は後退る。
 が、結局また腕を取られて、つんのめるようにして再び私は彼の腕の中に捕まってしまった。