「おい」
「え?」
見上げると不機嫌そうな瞳とぶつかって、ハタと我に返る。
(記憶を取り戻すためにって……)
未だに私は彼の腕の中にいて、急に落ち着かなくなる。
「えっと、じゃあ、私のこと全部……?」
「あぁ、全部思い出した」
全部、ということは。
(もしかしてあの告白も……?)
そういえばさっき、彼は私に何と言っただろう。
――大好きってなんだよ!
「カノン?」
途端どうしようもなく恥ずかしくなって、私は彼の腕から抜け出して距離を取る。
「――あ、あの最後の言葉は、あの場にいたみんなに向けて言った言葉で」
我ながら苦しいと思いながらもそう言うと、ぴくりと彼は片眉を上げた。
「今更んなこと言ったって遅ぇからな」
怖い顔で近づいてくるラグから私は後退る。
が、結局また腕を取られて、つんのめるようにして再び私は彼の腕の中に捕まってしまった。



