My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】


 そのとき、彼が小さく私の名を呼んでいることに気付く。

「カノン、カノン……っ」

(ラグ、泣いてる……?)

 その背中を優しくさすってあげると、ラグはゆっくりと腕を緩め私を見下ろした。

「――っとに、なんなんだお前は!!」

 一年ぶりに怒鳴られてしまった。
 でも、その眼にはうっすらと涙が浮かんでいて。

「勝手に記憶消して、勝手に消えやがって。そんで、大好きってなんだよ!」
「ご、ごめん」
「あんなの、忘れられねぇに決まってんだろうが!」

 と、そのとき大きなため息が聞こえた。

「折角の感動の再会なのに、なんで君はそうやって怒るかな」

 その聞き覚えのある優しい声にびっくりする。

「エルネストさん!?」

 彼があの幽霊のような姿でベッド脇に立ち、笑顔でこちらにひらひらと手を振っていた。