そのとき、彼が小さく私の名を呼んでいることに気付く。
「カノン、カノン……っ」
(ラグ、泣いてる……?)
その背中を優しくさすってあげると、ラグはゆっくりと腕を緩め私を見下ろした。
「――っとに、なんなんだお前は!!」
一年ぶりに怒鳴られてしまった。
でも、その眼にはうっすらと涙が浮かんでいて。
「勝手に記憶消して、勝手に消えやがって。そんで、大好きってなんだよ!」
「ご、ごめん」
「あんなの、忘れられねぇに決まってんだろうが!」
と、そのとき大きなため息が聞こえた。
「折角の感動の再会なのに、なんで君はそうやって怒るかな」
その聞き覚えのある優しい声にびっくりする。
「エルネストさん!?」
彼があの幽霊のような姿でベッド脇に立ち、笑顔でこちらにひらひらと手を振っていた。



