My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】


 ……でも、そんなはずはない。聞こえるはずがない。
 こんな歌詞で歌ってしまったから、きっと幻聴が聞こえたのだろう。
 一年が経っても、まだ全然ふっきれていないのがわかって、そんな自分に呆れてしまう。――でも。

「カノン!」

 もう一度、先ほどよりもはっきりと聞こえた声に私は顔を上げる。

「……ラグ?」

 そんなわけないのに、聞こえるはずがないのに、思わずその名を口にしていた。
 一度声に出してしまったら、もうダメだった。

「ラグ! ラグ!!」

 私は何度も何度もその名を呼ぶ。大切な人の名前を。
 思い出になんてしたくなかった、大好きな人の名前を。

 ――そのとき、信じられないことが起きた。