……でも、そんなはずはない。聞こえるはずがない。
こんな歌詞で歌ってしまったから、きっと幻聴が聞こえたのだろう。
一年が経っても、まだ全然ふっきれていないのがわかって、そんな自分に呆れてしまう。――でも。
「カノン!」
もう一度、先ほどよりもはっきりと聞こえた声に私は顔を上げる。
「……ラグ?」
そんなわけないのに、聞こえるはずがないのに、思わずその名を口にしていた。
一度声に出してしまったら、もうダメだった。
「ラグ! ラグ!!」
私は何度も何度もその名を呼ぶ。大切な人の名前を。
思い出になんてしたくなかった、大好きな人の名前を。
――そのとき、信じられないことが起きた。



