「この曲?」
「そう。俺の渾身の新曲!」
演奏に力が入る。流石の表現力に鳥肌が立つ。
それはとても叙情的で感動的なバラードで、じんわりと胸に染みわたった。
曲が終わりを迎えて私はパチパチと大きな拍手を送る。
「素敵な曲……どんなイメージで作ったの?」
「んーー、遠い場所にいる大切な人へ贈る歌って感じかな?」
どきりとする。
「そう、なんだ……」
笑顔がぎこちなくなってしまったかもしれない。
響ちゃんはそんな私に訊いた。
「歌詞、すぐに出来そう?」
「……うん。やってみる」
言うと響ちゃんはにっこりと笑った。
(遠い場所にいる大切な人へ……)
もう一度同じ曲が始まって、私は彼の視線を受けて歌い始める。



