――この世界を終わらせる?

「もう我慢しなくていいんだ。今ここで思いっきり歌っていいんだよ、カノン。そして君の歌を世界中に届けよう!」

 ――思いっきり、歌っていい?

「カノン……?」

 ゆっくりと立ち上がると、セリーンが心配そうに私の名を呼んだ。
 私はエルネストさんをまっすぐに見上げて、口を開く。

「私、歌いたいです」

 皆が息を呑むのがわかった。
 エルネストさんがうっすらと口の端を上げて。

「私、エルネストさんを癒す歌が歌いたいです」
「……え?」

 エメラルドの双眸が瞬いた。