「彼がこの場所へ来たのはつい先ほどだけれど、なんだかとても焦っている様子だったからね。……それになぜか、彼にも僕の印がある」
アジルさんの額にはエルネストさんと同じ紋様が刻まれている。なぜか、ということはエルネストさんにも覚えがないということだ。
エルネストさんのことを気にしつつアジルさんの元へ足を向けたアルさんに、セリーンが声を掛ける。
「その男はこの場所を知っていて隠していた。それに、奴がラグ・エヴァンスだと知って酷く慌てていたのも気になる」
アルさんは頷き、倒れているアジルさんの傍らに片膝を着いた。
「そういやこのおっさん、見たことある気するな。――おい、起きろ!」
何度か揺さぶられるとアジルさんは小さく呻きその眉間にたくさんの皴を寄せた。そのことに少しほっとして。



