「そんで、そんなラグに言うことを聞かせるために呪いをかけたわけか」
「うん。頼んでも素直に従ってくれるとは思えなかったからね。だから彼を僕の力が届く特別な場所に誘い出した」

 ラグが教えてくれた話だ。
 エルネストさんにある場所へ行けと言われて、そのとおりにしたら呪いを受けていた、と。

「その日彼は酷く酔っていてね。確か、感謝祭の日じゃなかったかな」
「感謝祭?」

 私が呟くと、アルさんがすぐに答えてくれた。

「一年に一度、俺ら術士に力を貸し与えてくれる万物に感謝する祭りがあるんだ。あいつはその祭りの日、決まって派手に酔いつぶれるんだが……確かに、あいつが急にストレッタを出て行ったのはその直後だったな」

 エルネストさんが笑う。

「その苦しみから解放してあげると言ったら、彼は僕に言われるまま簡単に呪いにかかってくれたよ」

 ぐっと、アルさんの拳が強く握られるのを見た。