エメラルドグリーンの双眸が再び私を見る。

「ブゥは、いや、ブゥたち種族は昔から歌が好きでね、いつも僕やセイレーンの傍にいた。だから人々は彼らを“天使”と呼んでいたんだよ」

(天使……)

 エルネストさんを神様のように崇めていた人々が、傍にいたブゥたちをそう呼ぶのはわかる気がした。

「君の歌がブゥには効かなかっただろう?」
「あっ」
「ずっとセイレーンの傍にいたから、彼らは歌に耐性があるんだね」

 そうか、だからあのとき近くにいたのにブゥだけは眠らなかったのだ。

「僕にとっても馴染み深い存在だったから、ブゥがいれば僕もその場所へ意識を飛ばしやすかった。だからあまり離れられると困ったなぁ」
「!?」

 驚いて振り向くと、ブゥはラグの頭の上で急に集まった視線を不思議そうに見返した。
 エルネストさんがクスクスと笑う。

「勿論、ブゥは何も知らないよ」

 それを聞いて少しほっとする。