「彼女はこの世界に来て得た歌の力でたくさんの人の心を癒していった。争いを止めたこともあったかな。彼女は僕なんかよりもよっぽど皆から愛される存在となった」
なんて強い人なんだろう。
同じ日本人として、誇らしくさえ思えた。
「そんな彼女のことを皆は敬意と親愛を込めて“銀のセイレーン”と呼ぶようになった」
「え……?」
――敬意と親愛を込めて……?
「そして僕も、そんな彼女のことを愛してしまった」
ぴちゃんと、水面に落ちた雫が綺麗な円を描いて広がっていく。
彼の私を見る目がいつも優しい理由がやっとわかった気がした。……いや、なんとなくわかっていた。
彼が私を見ながら、他の誰かを見ていたこと。
(そうか。エルネストさんは銀のセイレーンのことを愛していたんだ)
胸が熱くなった。



