「それって」
ドナが話してくれた、ノービスさんが友達になったという銀のセイレーン。
彼が頷く。
「そう。彼女は、君と同じで歌が大好きだった。そして、とても強くて美しい女性だった」
エルネストさんが目を細め私を見つめた。
「僕は、彼女にたくさんの歌を奏でてもらった。彼女が歌うと不思議なことに髪の毛が銀色に輝いた。そんなところも面白くてね」
まるで新しいおもちゃを手に入れた子供のようにエルネストさんは楽しそうに語る。
「でも彼女は、元いた世界の争いで愛する人を亡くしたと言っていた」
――え?
「だから、この世界にも争いがあることを知って心を痛めていた。そして彼女は、力があるのに見ているだけで何もしない僕のことを叱った」
私が目を丸くすると、彼も笑った。
「僕も驚いたよ。叱られるのなんて、初めてだったからね」
彼は懐かしそうに続ける。



