試しに格子の一本を握って押してみるとギィと鈍い音を立てて簡単に開いてしまった。
「やっぱり」
「ぶっ」
なぜ開いているのだろうと疑問に思いつつ、更に奥の鉄の扉の前に立つ。大分古いもののようで近くで見ると錆びだらけだ。
ひょっとしてここも……と淡い期待を抱きながら両手で体重をかけ押してみるとギギギと鉄同士の擦れる音と共に向こう側に開いていくではないか。
「……開いちゃったね」
「ぶぅ」
扉の向こうは更に暗い道が続いていた。とりあえずモンスターの気配はなさそうだ。
(元々鍵がかかってなかった? それとも……)
ごくりと喉を鳴らして、私は慎重に先へと足を進めた。――いつでも歌えるよう心の準備をして。



