ラグの舌打ちが聞こえた。
 このままではラグも、他の皆もまた傷ついてしまう。

(私のせいで……っ!)

 ぐっと奥歯を噛みしめて、私は起き上がった。 

「ごめん」
「は?」

 ラグが私の小さな謝罪の言葉にも反応してくれて、口を開く。


  ねむれ ねむれ おやすみなさい


「!?」

 再び歌い出した私をラグが驚き振り返る。
 以前にも歌った子守歌。
 つい数日前にラグのために歌ったものではない。
 これはルルデュールの前で歌った子守歌だ。


  ねむれ ねむれ おやすみなさい
  涙のわけは忘れて おやすみなさい
  明日になればきっと 笑顔の自分に会えるから


 起きたらきっと全部忘れているから。
 私のことも、何に怯え、怒っていたのかも。
 だから今は深く深く、眠って……!