(私、最低だ……)

 きっと他に原因があるはずだとラグに言いながら、自分にその原因があるなんて全く考えていなかった。

 私はこの世界を破滅させる“銀のセイレーン”なのに。
 この世界に来てすぐにそう言われたはずなのに。
 モンスターたちがこの街に押し寄せてきたのも、あの小さな女の子やパシオさんが負傷したのも、――ラグが深く傷ついたのも。

 全部、私のせいなのに。

 ドン……ドンッ……ドガンっ!

 振動と共にそんな轟音が耳に響いた。扉が破られたのだ。
 のっそりと現れたのは、爪に毒があるというあの豹に似た大きなモンスターだった。
 そいつも未だ髪が銀に輝く私を見つけると、ぐるると低く唸り声をあげ威嚇の体勢を取った。