「父さんも、母さんも、友達も、みんなみんな、あの時に死んでしまったわ。――あなたは、あなたたち魔導術士は! 自分たちの利益のために私たちを犠牲したのよ!!」
「違います!!」

 もう聞いていられなかった。気づいたときには酷い声で叫んでいた。

「ラグは! 少なくともラグは本気でこの街を、あなたを助けようとしていたんです!」

 私はその時この場所にはいなかった。
 その頃のラグも、マルテラさんも知らない。
 でもわかる。
 ラグは、その時本気でマルテラさんを助けようとしていたのだ。
 それだけはわかるから。

「だからもう、ラグを悪く言わないであげてください……っ」

 最後はもう声にならなかった。ただそう言って彼女に深く頭を下げていた。