そのうち何匹かが建物の壁に叩きつけれ、
「――っ!」
一瞬遅れて突風がこちらにまで及びその風圧で危うく倒れ込むところだった。
「術士!?」
セリーンが私の隣で驚愕の声を上げる。
瞬間ラグの術かと思ったがやはり違う。
(アジルさんが、術士!?)
セリーンの声で私たちの存在に気付いたらしいアジルさんがすさまじい形相でこちらを振り向いた。
「お前たち、は……っ」
だがそこで急に糸が切れたように彼はその場に崩れ落ちた。
「えっ!?」
いち早く駆け出したのはラグだった。私とセリーンもその後を追う。
(初めて歌を“使った”時の私と同じ……!)
「!?」
尻餅をつき立ち上がれない様子のアジルさんを前にして、ラグが息を呑んだのがわかった。
驚いたのは私たちも同じだ。
目深にかぶっていた帽子が落ち露わになった彼の額に、見覚えのある紋様が刻まれていたのだ。



