坑道入口までの山道を歩いていくと、詰所で聞いた木組みの建物が見えてきた。ここが鉱夫たちの事務所兼宿舎になっているらしい。

「ここにアジルさんもいるんだよね」
「おそらくな」

 セリーンが頷いたときだ。

「来るな! 来るなあぁぁーーっ!!」
「!?」

 そんな絶叫が聞こえて来て、私たちは顔を見合わせた。
 急いで声のした建物の裏手側へ向かうと、見覚えのある男性が狼に似たモンスター数匹に取り囲まれていた。

「アジルさん!?」

 私が悲鳴を上げるのとほぼ同時、一斉にモンスターが彼に飛びかかった!
 もう間に合わないと目を背けようとした――そのとき。

「風を此処に!!」

 そんな声と共にモンスターたちが放射状に吹き飛んでいくのを見た。