「パシオも難しい立場だな」

 詰所を出てすぐ、傍らでセリーンが溜息を吐いた。

「この街の要である鉱山の連中との関係を悪くはしたくないだろうしな」

 セリーンの申し出に最初パシオさんは強く反対した。でも他の団員たちから説得されるかたちで渋々了承してくれ、私たちは“勝手に”坑道内を調査することになった。
 それでもパシオさんは必要になるかもしれないと頑丈なロープを持たせてくれて、やっぱりいい人だなと思った。
 そして今、私たちは教えてもらった坑道の入口へと向かっている。

「でも、どうするの?」

 真正面から行ってもきっと余所者の私たちを入れてはくれないだろう。

「あの男にもう一度話を聞きに行く」

 そう答えたのはすぐ後ろを歩くラグだ。