アジルさんが詰所を訪れたのはそれから間もなくのことだった。
その時間に合わせマルテラさんや他の団員たちも一斉に詰所に集まってきた。
アジルさんは帽子を目深に被った50代程のがっしりとした体格の男性で、特にその手はとても大きくごつごつとしていてそこだけ見ても流石鉱山の責任者という貫禄があった。
でも帽子から覗く眼がぎょろりと鋭く、少し怖い印象を受けた。
(この人にセイレーンの秘境のこと訊くのかぁ……)
知らず、ごくりと喉が鳴ってしまっていた。
アジルさんが坑道図を広げ、早々に話し合いが始まった。
セリーンもそれに参加したが私とラグは少し離れた場所からそんな彼らを見つめていた。
「ではあの穴がもし坑道内に繋がっているとしたら、このあたりということですね」
「繋がっているとしたらな」
パシオさんの確認にアジルさんが溜息交じりに低く答える。



