「君は欲しくはないかい?」
「えっ! や、私は何もしてないですし」
「一応君のサイズのものを用意したんだ。勿論実際にはめてみて合わなければ職人がすぐに直してくれる手はずになっている」
そう言われてびっくりする。
けれど考えてみたら私たちはこの指輪目当てでこの街を訪れたカップルだと思われているわけで、ラグが指輪を受け取ったら当然私に贈るものだと皆思っているのだ。
ラグから指輪を……そんなありえない映像が頭に浮かびそうになってしまい私は首を振る。
「すみません、私も」
「受け取っておけ」
そう言ったのはセリーンだ。
彼女は頬杖をつき呆れたような顔でラグの方を見ていた。
「報酬は報酬。ここで貴様が受け取らないと困るのはパシオだ。職人とももう話がついているようだしな」
「そ、そうなんだ。受け取ってもらえたら僕も助かる!」
そしてパシオさんは指輪の入った小箱を更にずいとラグの方に差し出した。



