My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】

 マルテラさんや他の人たちのいる気配はなく、それとなく訊いてみる。

「他の皆さんは……」
「あぁ、皆には明け方に一度帰ってもらったんだ。ここ数日休みなく出てもらっていたからね」
「パシオさんは休まなくて大丈夫なんですか?」

 そう訊くとパシオさんは数回瞬きしたあとで「ありがとう」と笑った。

「僕も皆が出てきたら交代で休ませてもらうつもりだよ」

 そしてその視線は私の右隣に座るセリーンに向けられた。

「こちらが昨日の報酬になります」

 カウンター上に硬貨の入った皮袋がいくつも並べられ、中身を確認した後でセリーンはそれを受け取っていた。いつ見ても凄い量だ。

「そしてダグ、君にはこれを」

 左隣に座るラグの前に差し出されたのは皮袋ではなく、綺麗な装飾の施された金属製の小箱だった。
 パシオさんがそれを開けてみせて、私は思わず目を見開く。