眠れないまま窓の外が明るくなって、そのうちパンの焼ける良い香りが部屋に漂ってきた。
 諦めて起き上がりぐーっと伸びをする。と、

「眠れなかったか?」

 隣のベッドからそう声がかかった。
 セリーンの優しい瞳がこちらを見ていて、私は苦笑しながら頷く。

「うん。でも、体は休めたし平気」
「そうか」

 するとセリーンも身体を起こし私と同じようにぐーっと伸びをした。

「よし、まずは腹ごしらえだ」
「だね」

 そうして私たちはベッドを降り支度を始めた。