「……逆に、ラグは私を見離そうと思ったことはないの?」
「は?」

 思い切って訊いてみると、ラグはもう一度私を見上げた。

「ほら、私ラグの足引っ張ることばっかりして……きっと、イライラしただろうなって」

 ラグはきっともっと早く旅を進めたかったはずなのだ。
 ドキドキしながら答えを待つと、彼は溜息を吐いて目を伏せた。

「あぁ、そうだな。人の言うことまるで聞きやしねぇし」

 ――あ、やっぱり否定しないんだ。と、少し傷つく。

(まぁ、そうだよね。わかってたけど……)

「離れるなって言ってんのに勝手な行動をとる。なのに、来るなと言うとついて来る。なんなんだこいつはと何度も思ったな」
「うっ……」

 その通りなのでなにも言えないでいると。

「……だが、」

 そこで彼は一旦言葉を切った。