ラグは窓から離れると椅子にどっかりと腰かけた。

「原因はオレか、お前か……」
「え?」

 ラグの鋭い瞳が私を見上げた。

「お前もそう思ってんだろ」
「っ、」

 言葉に詰まる。――図星だった。
 この宿に原因がないのだとしたら、そこに泊まっている私たちの方にあるのではないか。そう考えてしまった。

「まぁ、どう考えてもオレだろうな」

 自嘲するようにラグが口の端をわずかに上げた。

「オレがここに戻ってきたのを、森の連中はわかってんだ」
「で、でも、」
「やっぱりオレはここに来るべきじゃなかったのかもしれねぇ」

 ラグがポケットを見下ろして続ける。

「こいつも、ここに戻ってきて思い出したんだろう、全部。だからこんなに怯えて」
「それはないよ!」

 強く否定するとラグがこちらを睨み上げた。