「だそうだ。明日そのアジルという男に会いに行ってみるか?」
「うん! ありがとう、セリーン」

 確かに、昔からこのレーネに住んでいる人から聞いた方が確実だ。
 隣に座るラグの方を見たけれどやはり今はブゥのことが気になるのだろうか、ただ黙々と料理を口に運んでいた。


「おやすみ。何かあったら声掛けてね」

 食事を終え、ラグが部屋に入ってしまう間際にそう言うと彼は頷いてドアを閉めた。

「ブゥ、心配だね」
「あぁ。今ここにライゼがいればな」
「本当だね」

 神導術士の彼女がいればブゥの声を聞くことが出来る。そうすれば、ブゥが何に怯えているのかもわかるのに。
 ライゼちゃんの優しい笑みを思い出しながら私はセリーンに続いて部屋に入った。