いつから彼に惹かれていたのだろう。

 最初はただ冷たくて、とっつきにくくて、怖い人だと思っていた。
 それが頼りになる人に変わって、素直じゃないだけで本当は優しい人だと知った。
 彼の過去を知って、彼を助けたいと思った。
 彼が笑顔を見せてくれて、涙が出るほど嬉しかった。

 多分、その頃にはもう私の中で彼の存在は大きくなっていたのだ。


「もしかしたらね、私エルネストさんに会わなくても帰れるかもしれないの」

 涙が落ち着いてからそう明かすと、セリーンはその瞳を大きくした。

「アヴェイラの船にいたときにね、ある歌を歌ったんだけど、一瞬向こうの世界に帰れた気がしたんだ」
「それは、本当か」

 こくりと頷く。