森の中の道なき道を私たちは慎重に進んでいた。
 先ほども少し入ったそこは木漏れ日が差し込んでいて明るく、小鳥たちの楽し気な囀りが高く響き渡り時折ざあっと音を立てて吹き抜ける風も気持ちが良くて、狂暴なモンスターがどこかに潜んでいるような、そんな恐ろしい雰囲気は全くなかった。

(でも、油断しないようにしなきゃ)

 セリーンがすぐ目の前にいてラグが後ろにいてくれる。絶対的な安心感はあるけれど、気は抜けなかった。――ふたつの意味で。
 セリーンに訊きたいことはたくさんあった。他の皆はどうしたのか、あれからどうなったのか。
 それに離れている間にあった色んな事を話したかったし相談したいこともあった。

(ラグのことも……)