でもそれを聞いて少しほっとする。
ルルデュールと戦ったときや、グリスノートたちの前でこの場所の話をしたときに比べると今の彼の表情はとても穏やかだ。
「……お前がいるからかもな」
「え?」
とてもとても小さな声だった。
でも確かにそう聞こえて、彼はそのまま前に向き直った。
「行くぞ」
「……っ、うん!」
嬉しい。
すごく嬉しい!
歩き始めた彼について行きながら、私はどうしてもにやけてしまう顔を両手で挟むようにして押さえていた。
――甲高い悲鳴が聞こえてきたのは、そんなときだった。
「なに?」
その悲鳴はひとりのものではなかった。複数聞こえてくる悲鳴に緊張が走る。
(街の方から?)
ラグがこちらを振り返った。
「走れるか?」
「う、うん!」
頷くと手が差し出されて驚く。
その大きな手を握ると、彼は私の手をしっかりと握り返してくれた。そして私たちは走り出した。
――こんなときだというのにドキドキした。



