そうか。
 私、ラグが好きなんだ。

 森に囲まれた街道を進みながら、見慣れたその背中を見つめる。
 なんだか胸のあたりがじんわりとあたたかい。
 ……いつからだろう。
 でも気づいてしまえば、彼の何気ない一言で涙が出てきた理由も、胸がいっぱいになる理由も我ながらすごく単純でわかりやすくて。
 ひょっとして自分では気づいていなかっただけで周りからはバレバレだったのだろうか。

(だからよく皆から誤解されてたのかな……うわ、だとしたら私恥ずかし過ぎる)

 両手で頬に触れるとほんのりと熱を帯びていて、今ラグの他に誰もいなくて良かったと思った。

(でも、じゃあもしかして、ラグにもバレバレだった……?)