(そんなこと言っても……)

 椅子で寝ている彼の横で、自分だけ悠々とこんな大きなベッドで寝こけるなんて出来るわけがない。

「そりゃ、私と一緒のベッドなんて嫌だろうけど」
「嫌とかそういうことじゃねぇ」
「だったら」

 じろりと睨みつけられる。

「お前は、誰とでも同じベッドで寝れるのかよ」
「そんなわけ……っ! ラグだからに決まってるでしょ!」

 強く言い返すと彼がぎょっとしたような顔をしてハタと我に返る。
 今のは、完全に言い方を間違えた……!

「ち、ちがっ、変な意味じゃなくて! 私は、ラグを信頼してるから」

 慌てて言い直すと、はぁと大きな溜息。

「……勝手に信頼してもらってもな、こっちは」

 そこで彼はぴたりと口を止めた。

(こっちは?)

「と、とにかく、オレはここで寝る。もう喋りかけるな!」

 そう怒鳴ると彼は再び固く目を閉じてしまった。

「でも、」
「……」

 彼はそれっきり口を開いてくれなくて。