私とリディの声が重なる。
 今朝そろそろだと言われたが、まさかこんなにも早くその時が来るとは思わなかった。

「私も行く!」

 リディはすぐさまコードさんについて行き、私はセリーンを見る。彼女はすでに愛剣を手にしていた。

「私たちも行くか」
「うん!」

 海賊が出たということはラグも呼ばれているはずだ。
 私たちはギャレーを出て急ぎリディたちを追いかけた。


 甲板へ出ると強い日差しに目がくらみ、瞬きをしながらなんとか前方を見る。
 船首にグレイスを肩に乗せ仁王立ちになったグリスノートの背中があった。
 コードさんがその傍らに並び、リディもその後ろにつく。――ラグはまだ来ていないようだ。
 目が慣れて漸くこちらに向かってくる船が確認出来た。
 この船よりやや小ぶりで、風にはためくその海賊旗はピンク。海の深いブルーにその色はよく映えたが。

(なんか、可愛い……?)

「あれが例の船か?」

 セリーンの声も少々拍子抜けしたように聞こえた。