「あたしはね、ずっとあんたに言ってやりたいことがあったんだ、ラグ・エヴァンス」
「!?」

 アヴェイラの口から出た喧嘩を売るような台詞に驚く。
 一昨日の会話でラグへの怒りは治まったのだと思っていた。でもやはり本人を目の前にしてその気持ちが蘇ってしまったのだろうか。

(だとしたら、まさか戦うなんてことに……!?)

「……」

 ラグは表情を変えず、ただじっとアヴェイラを見つめている。

「見ての通りあたしも術士でね。あんたのお蔭でこれまでそりゃあ酷い目に遭ってきたんだ。だからね、いつかあんたに会うようなことがあったら一発ぶん殴ってやらなきゃ気が済まない」

 その言葉に焦る。

「アヴェイラ!」
「――そう、思ってたんだ。つい2日前までね」
「え?」

 またそこでアヴェイラの声音が変わり、ふたりの間に入ろうとしていた私はぴたりと足を止めた。