「よ~っほほほほほ!」

 アヴェイラが高笑いを上げる。

「どうだいグリスノート、あたしの、歌、は……?」

 そのとき、急に彼女の声が不自然に途切れた。
 ぐらり、その背中が大きく揺れてそのまま横に倒れていく。

(……え?)

 一瞬、目の前のことが理解できなかった。
 アヴェイラは甲板に倒れたまま、ぴくりとも動かない。

「お頭!?」
「お頭ぁ!!」
「――アヴェイラ!?」

 海賊たちの声に漸く我に返り慌てて駆け寄ろうとして、でもそれより早くに彼女の元に駆け寄った者がいた。

「アヴェイラ! おい、アヴェイラ!?」

 グリスノートがぐったりした彼女の身体を抱き起こし必死にその名を呼ぶ。