「ブゥさん、ラグさんに会えたかな~」
フィルくんがまだ遠くに見える船を見つめ、これで何度目かそうぼやくのが聞こえた。
先ほどよりは船の輪郭がはっきりとしてきたが、まだ距離があるのか思ったより時間がかかりそうだ。
落ち着かない様子でひょこひょこ背伸びを繰り返している彼に苦笑して私ももう一度船に視線を向ける。
「手紙にすぐ気づいてくれたらいいんだけど」
「お頭ぁ!」
見張り台から焦ったような声が聞こえてきたのは、そんなときだった。
「なんか来ます! 人です! 人が2人、こっちへ飛んで来ます!」
「!?」
見張りが望遠鏡を向けている方を見ると、確かに何かがぐんぐんこちらに近づいてくるのが肉眼でも確認出来た。
(まさか……!)



