My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】



「カノン、悪いけど一応それっぽく縛らせてもらうよ」
「あ、うん」

 アヴェイラがこちらにやってきて、聞いていた通り私は人質らしく両手を軽くロープで縛られた。

「フィルもね」
「はい」

 続いてフィルくんの両手も縛って、アヴェイラは再び船首の方へと戻っていく。

「アヴェイラは、」

 そんな彼女の背中を見つめながらフィルくんがぽつりと言った。

「船長の前で歌って、どうするつもりなんでしょう」
「え?」

 彼がこちらを向く。

「なにか聞いてますか?」
「う、ううん。ただ、歌ってその反応が見たいって」
「ただ歌うだけ、ですか?」
「うん。そう、だと思う」

 私が尻すぼみになりながら答えると、フィルくんはまたアヴェイラの方に視線をやり、

「本当にそれだけなのかな」

そう、心配そうに呟いた。