「カノン、悪いけど一応それっぽく縛らせてもらうよ」
「あ、うん」
アヴェイラがこちらにやってきて、聞いていた通り私は人質らしく両手を軽くロープで縛られた。
「フィルもね」
「はい」
続いてフィルくんの両手も縛って、アヴェイラは再び船首の方へと戻っていく。
「アヴェイラは、」
そんな彼女の背中を見つめながらフィルくんがぽつりと言った。
「船長の前で歌って、どうするつもりなんでしょう」
「え?」
彼がこちらを向く。
「なにか聞いてますか?」
「う、ううん。ただ、歌ってその反応が見たいって」
「ただ歌うだけ、ですか?」
「うん。そう、だと思う」
私が尻すぼみになりながら答えると、フィルくんはまたアヴェイラの方に視線をやり、
「本当にそれだけなのかな」
そう、心配そうに呟いた。



