My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】


 これまでにも彼は「オレから離れるな」とかそういう気障な台詞を平然と口にしていて、今回もそれと同じだ。
 そこに「惚れている」とか「好き」とかそんな甘い感情は無くて、ただ私がいなくなると困るから。
 だってその直前、彼は私に“帰れなくても居場所が出来て良かったじゃないか”と他人事のように言ったのだ。彼は呪いが解ければそれでいい。それまでの関係なのだ。
 だから勘違いしたらダメだ。

(ダメなのに。わかっているのに……)

 涙が出そうなほどに、嬉しいと思ってしまった。

「ぶぅ~」

 そのときそんな小さな鳴き声が聞こえてブゥがふよふよとこちらに飛んできた。

「ブゥ、おはよう」
「ぶぶぅ」

 そうしてブゥは私の頭に音もなく乗っかった。本当は相棒の頭が一番しっくりくるだろうに……そう思いながら私は声を掛ける。

「明日やっとラグに会えるよ。もう少し待っててね」
「ぶぅ」
「楽しみだね」
「ぶーぅっ」

 元気な返事が返ってきて笑みがこぼれる。

「うん、私も楽しみ」