My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】


 ――カノンにこれ以上近づくな?

「いやいや、そういう意味じゃないって」

 ゆっくりとベッドの方へと戻りながら、ひとり首を振る。
 ……あのとき、ラグはグリスノートのいる甲板に上がっていった。その後の会話をきっとフィルくんは聞いたのだろうけれど。

 テーブルにトレーを置いて、ストンと椅子に腰かける。

 彼のことだから、フィルくんが思っているような深い意味はないとわかっている。
 これ以上近づいて私が銀のセイレーンだとグリスノートにバレてしまうとマズイから。結局バレてしまったけれど……多分、そういう意味だろう。

(わかってるのに……どうしよう)

 熱いほどに火照った頬を私は両手で覆う。

 ――嬉しい。

 そう思ってしまった。