「俺達が求めているのは“杏”だ」
「………え?」
…私?
聞き間違えじゃないよね?
「響希は早く復帰しなさいって言ってるのよ」
まって、全然理解が出来ない。
龍神を復帰しろってこと!?
「え、私は龍神を抜けたんだよ?復帰もクソも無くない?」
「それはさ〜杏ちゃんが勝手に決めて離れていっただけだよ〜。総長の響希は抜ける事を承諾してないよ〜!」
承諾?
確かに謝られただけだったけどさ…え?
「ま、杏が抜けるって言ったときは相当ショック受けたみたいで、いつも以上に静かだったわね。ある意味レアだったわ」
「確かに!魂抜けてたよね!!」
皆がケラケラと笑う。
「…俺をいじらないでくれ」
恥ずかしそうにしている響希が、少しだけ可愛く思えた。いや、それどころじゃない、そんな事より確認することがある。
「え、翔はどういう心情?」
今、1番読めない男。
「あ、俺〜?初めから響希側だよ〜」
「…は?え!?」
「もしかして騙されちゃった〜?僕、演技上手いからさあ〜!」
え、演技…かぁ。騙された。

