「…ん」


あれ、私何してたんだっけ。
床で寝るとかやらかした…。
さっきは地面で横になりたいって言ってたけどさ。


さっき?



そうだ、どっかの族に拉致されたんだ。

いつになったら休めるのやら。



体調は変わらず悪いし。


今、どこにいるのか何時なのかさっぱり分からない。


私がいる場所は、6畳くらいの大きさの部屋?かな。
何も物がない。

暖房もついてないし、鬼すぎる。仮にも女の子を拉致してるんだから気を使ってよね。


結局、ご飯も食べれてないし、薬も飲めてない。


はぁ。溜息しか出てこない。



「ん?」


何か、私の右側に…。



矢田君だ!

矢田君は気絶しているのか、横になっていてピクリとも動かない。

大丈夫かな。そう言えば、すごい勢いで殴られてたよね。


私の方に背中が向けられているから、表情とかが分からない。



しかも、お互い足と手首を縛られて身動き取れないし。



「…菅野さん、起きた?」


「起きたけど矢田君、大丈夫なの?」


「大丈夫じゃないかな、めちゃくちゃボコボコにされたよ。あちこち痛い」


「矢田君、こっち向ける?」


「うん」


矢田君はゆっくりと身体を私の方に向ける。


「うわぁ…すごい怪我」


想像以上に酷かった。