「何ですか」
「その制服、城崎学園の制服だよね??」
「そうですけど、それが何ですか」
これは逃げないとヤバいかも…。矢田君も気づいてるっぽい。人に対して冷たい矢田君は初めて見た。
「ちょっと城崎学園の生徒に用があってね探してたんだよ」
人数は3人。多分、こいつら族だね。
しかも、悪族の方だ。そういう雰囲気プンプンする。
「僕達、今急用があるので失礼します」
矢田君は族らしき奴らをさわやかにお断りする。
「おい、ちょっと待てや」
1人の男が矢田君の腕を掴んだ。
さすがに引かないよね。
…これはヤバいかも。
こうなりそうなのは分かってたけどさ。
何がヤバいって…私が不利なのよ。
体調が悪すぎて、自由に動けない。
今、地面でもいいから横になりたいもん。
「用件は何ですか」
「ちょーとだけ俺たちに着いてほしくてなぁ」
「矢田君」
この一言で、矢田君は分かると思う。
“逃げて”
表情を一切変えない矢田君。やっぱり、私を置いてってはくれないね。
分かってたんだけどね。

