「さむ…」
当たり前だけど、歩くスピードはいつもより遅い。
ここからお店まで1番近いのはドラッグストアかな。
歩きだと15分くらいかかるけど。
今、5分くらい歩いて分かったんだけど…
無理な気がする。
熱、上がったかもしれない。
「…もう、歩けない……」
私は道端で座り込んだ。
どうしよう。
思い切って矢田君に電話をかけてみよ。
それしかない。
あ、タクシーの方がいいかな。
矢田君に迷惑かけちゃうし。
「ぁ…」
私はとんでもない事に気がついてしまった。
「…スマホ忘れた」
スマホ忘れるとかアホすぎて自分に呆れた。
少し、休憩してから家に戻ろうかな。
それからタクシー呼んで買い物に行こ。
「大丈夫ですか?」
はぁ。
「お姉さん大丈夫ですか?」
「…ぇ、はい大丈夫です」
「それならよかったです」
びっくりした、話しかけられてたの私か。
多分男の人かな、気がついた時には目の前にいた。足元しか見れてないけど。
何故話しかけられた?って思ったけど、そうだよね…道端でうずくまってたらヤバいと思うよね…申し訳ない。
そんな親切な人にお礼言おうと上を向いた。
「あの、お気遣いありが…矢田君!?」
「…え?その声…菅野さん!?」
凄い、お互い知り合いって分かってなかった。
「そうだけど…」
「本当に??」
何故か私は疑われてる。菅野杏、本人なのかと。

