「ただいま〜」
「おかえり。…杏、大丈夫?何かあった?」
「え、何もないよ」
なんで?どうして…。
「そう、夜ご飯もう少しだから、ちゃんと下に降りてきなさいね」
「うん」
何でだろう。親ってやっぱり凄いなって思う。子供が何かあったら、些細なことでも直ぐに気づいてくれるよね。
お母さんありがとう。
そして私は自分の部屋へと向かおうとした。
「あ、ちょっと待って」
お母さんに呼び止められた。
「どうしたの?」
「実は、杏が冬休み入る頃、お母さん出張入っちゃって…」
まじか…
「ってもう直ぐじゃん!期間は?」
「それが、杏の冬休みが終わる頃かな」
「じゃあ、年越しは一緒に出来ないね」
「ごめんね、もし杏が嫌なら今からでも断るよ。杏には寂しい思いさせてたくないし。
それにこの間、転校も急にさせちゃったし」
お母さん、いつも私の事を思ってくれて、大切にしてくれてありがとう。
「お母さん、私は大丈夫だよ。お母さんが仕事を頑張ってくれてるから、私は学校にも通えて、充実してる。感謝してます。だから、無理せずストレス溜めずにお仕事頑張って」
「杏ありがとう。お母さん頑張ってくるね」
お母さんには沢山の心配させちゃってるから、いつか親孝行が出来るまでもう少しだけ待っててね。
お父さんが病気で亡くなってから、私を1人で育ててくれて、いつも頑張ってる姿はとても尊敬してます。
まだまだ子供で色々と弱いけど、
私も、お母さんみたいに強くなります。
多分だけど、そろそろ“あいつ”も来そうだし。

