「それで、なんて“交渉”したの?」
交渉…翔との事だよね。
響希との約束を破って夜に出歩いた。それを翔に見られてたなんて矢田君には言えない…。
あれこれ詳しく聞かれそうだし。
「翔はやっぱり、私の事をスパイだと思ってるらしい。だから翔にね、自分以外から問い詰められる前に龍神を抜けて欲しいって言われたの」
「なるほどね…」
「私もさ、これ以上他の族や龍神を巻き込んだり、争い事にならない為にも、抜ける事に同意したの。1番は龍神内で争ってほしくないから」
「菅野さんの争って欲しくないっていう気持ちは分かったよ。でもさ、どうしてスパイを疑われたの?」
そう思うよね〜。
「私は自分の事を全て言えないから。言えない秘密があるって事。だから、私が嘘をついてもつかなくても疑われるのは時間の問題だったの。ま、自業自得ってね。ははは…」
全て笑いで誤魔化せたら楽なのにな。

