「ナメてんの?」
こっわ。
いつものヘラヘラチャラチャラした雰囲気は何処へ?
「なめてなんかないよ」
「…じゃあどうして嘘つくの」
「……」
それは何も言えないわ。
「俺は知ってるんだよ?響希との約束を破ってさ、夜に出歩いてる事」
え!?
「…どうして知ってるの?」
もしかしてあの時の気配って…。
「夜に見回りしてる時が時々あってね。姫の安全も確認しないといけないから、家の周りとかに不審人物が潜んでないか見たりするんだよ」
なるほど、それで私が家を出るのを見たって事か。
良かった…家でアメの変装をしてなくて。
「声を掛けてさ、家に戻そうと思ったけど一瞬にして消えたからゾッとしたよね」
あぁ、それはねやっぱりね、誰かは分からなかったけど気配があったからさ撒くよね。
「一瞬って、化けもじゃないんだから…」
ドンッ
「で、裏切りの族はどこなの?」
私の顔の横の床を思いっきり殴るものだから、結構ビックリした。私の表情は無表情だけど。
「私は族のスパイじゃない。それは本当。たとえ、私の情報が出てこなかったとしても」
関係のない人たちを巻き込む訳にはいかないし、絶対にしたくない。
争い事が起きるのはもう勘弁。
とは言ってても、アメの事とか言えないからな…どうすればいいだろ。

