「杏おはよ」
「おはよう…」
誰か助けてー。
日課の登下校はいつまでも馴れない。
未だにありえないのよ。地味子と総長様が並んで歩いている事が。
地味子は辞めようにもやめられないし。
まぁ、地味子を辞めた方がマシになるとは思うけど…。
今更なぁ。
「…ず」
地味子してた方が、仮にアメで活動してる時に、素顔がバレても私だとは気づかないと思うからさ、もう保険だよね。
…響希にはバレちゃうかもしれないけど。
やっぱり、アメはしばらく封印かな。リスクが大きすぎるね。
龍神って言う地域を守ってる族もいるし。私がいなくても全然大丈夫だね。
昨日だって、私がいなかったら翔が一般人の人を助けてただろうし。
いつでも出れたはずなのに、私の事を様子見してたって感じだよね。
「杏!」
「ぅへい!」
変な声出た、恥ずかしい。
「今、赤だよ。ちゃんと前向いて歩かないと」
「あ、ごめん」
やば私、横断歩道を赤で渡ろうとしてたのか。考え事は、止まってしないとね。あはは
「考え事か?」
「あ、うん。でも大した事ではないから気にしないで!」
「おう」
響希に心配させちゃってるよ。
「今日は屋上で会議があるから、杏も忘れないようにな」
ポンっ
「…うん」
頭ポンされた。
やばい。なんかやばい。
しかも、笑顔プラス。
今の自分の顔、誰にも見せられない。
顔が火照ったみたいに熱い。
不意打ち過ぎるよ。
ドキドキが…止まらないよ。
こんなの…初めて。

