「そこのお兄さ〜ん」
後ろから声をかけられた。
「え?」
振り返ると1番会いたくない人に会ってしまった。
私、男に見られてるんだ、良かった。
「さっきの凄かったですね〜!何処かの族の人ですか??」
思いっきり翔だ。
「いいえ、入ってないです」
「一匹狼〜?今まで貴方みたいな人はいなかったのに、何で急にこの地域に来たんですかぁ〜?」
「関係ないですよね」
「関係あるんですよ〜!最近怪しい者ばかり集まり始めてて、手に負えないので味方なのか敵なのかハッキリさせていので!」
ここで信用してもらった方がいいって事だよね?
「私は敵ではないですね。貴方たち側の人間です。私の名は“アメ”と申します。貴方たちの邪魔だけはしません。どうか深入りだけはしないで欲しいです」
「まあ、さっきの様子だとそうと捉えましたが、完全に信頼は出来ないですね!様子見はさせて頂きます!こっちの情報は知ってるみたいですし〜怖いので」
あ、だよね。翔のこと知ってるって事になってる。
貴方たち側の人間ですとか言っちゃったよ。
深入りしないでって言ったけどさ、私が深入りしてるよね。
「分かりました」
「…あ、最後に菅野 杏って知ってます?」
え!?…私か!!
「…いえ、知らないです」
「分かりました!ありがとうございま〜す」
はあぁ、疲れた。
一瞬でも気を抜いたら終わりだった。
よく頑張ったわ。
翔はやっぱり私の事、探り入れてるんだなぁ。
自分の名前出てきた時はビックリした…。
やっぱり、信頼されてないのかぁ。
まぁ、隠してる自分が1番悪いんだけどね。

