今は教室の前。
「…ねえ」
「ん?」
翔は平然と私の隣を歩いている。
「何で一緒なの。一緒に教室入ったら怖がられる」
「それは無理かなぁ〜。杏ちゃんは姫だから、護衛がいないとね〜」
「でも、ここ学校だし」
「念には念をってね〜!」
最悪ね。
翔以外のメンバーは、屋上の溜まり場で会議だって。
「副総長なのにいいの?会議に出なくて」
「あ大丈夫、大丈夫〜!」
翔は耳に人差し指を当てて、アピールしてきた。
あ、なるほどね。イヤホンを付けて参加中なのか。
いつまでも教室の前で突っ立ってるのは怪しいよね。もう諦めて教室に入ろう。
ガラガラ
「「……」」
シーーーーーーーン
いや、さっきまで賑やかだったよね!?
「お、おはようございます…」
敬語で控えめに挨拶をした。
「「おはようございますっ!!」」
息ぴったり…。やっぱりそうなるよねー。
私は、あなた達と同い年なのに。
この悲しさよ。
自分の席までの道のりは、寂しさが溢れた。
私が通ろうとすると道を瞬時に譲ってくれて、目を合わせてくれない。
なるほどね、有紗が言っていたのはこの事だったのか。これは本当に心が痛い。
嫌われているんじゃなくて、怖がられてる。
席に着いてもボッチ。
翔は、会議に集中してるから邪魔するのは悪いし。
授業が始まるまで、小説でも読むか…。