なんて喜んでる暇ではない。
今、ここに残っているのは咲良と龍神のみ。
皆、龍神はこの状況に唖然としていて、固まったまま。
響希は私の正体に気づいてる。
このまま、立ち去った方がいいのかな。
泣きそうだけど、我慢しないと…っ。
こうなる事は最初から分かってた。
「杏ちゃん…何でそんな顔してるの」
「咲良…」
咲良が困った表情してる…ごめんね。
「菅野さーん!」
「矢田君…」
「怪我が軽い人達で、取り敢えず応急手当は終わったよ。下っ端は酷くなくて良かったよ。怪我が酷いのは幹部達かな。
幹部達には近づけなくて、手当出来てないから今からするよ」
「あ、うん」
矢田君は普通に話してくるのね。
本当に矢田君は矢田君だね。
「て言うか矢田君…私まだ正体言ってないよ……」
普通に名前で呼ばれたから流しちゃったけどさ。
「はっ!!!ご、ごごめん!!!」
全力で謝られた。
「杏」
っ…呼ばれた。

