ピンポーン
咲良の家のインターホンを鳴らした。
「あら、どちら様かしら」
咲良のお母さんが出てきた。
あ、地味子の姿だから分からないか。
私は変装を解いた。
「お久しぶりです。杏です」
「あ、杏ちゃん!?お久しぶりね!咲良、寝てると思うけど大丈夫かしら?」
「大丈夫です。学校からの手紙とか渡しに来たので。それと、咲良にも会いに」
「ありがとね。
それにしても、引越し先に杏ちゃんがいたなんて驚いたわ!
咲良がね、どーしても城崎学園で勉強して、将来有望になりたいってうるさくてね…」
「そ、うだったんですね」
咲良、どんなお願いしてるのよ…。
絶対にその理由じゃないし。
「今、杏ちゃんに会って分かったわ。咲良はどーしても杏ちゃんと同じ学校が良かったのね」
「そ、そうですかね〜」
笑顔の咲良のお母さんに対して、私は苦笑いしか出来なかった。
咲良のお母さんの言う通り、私の為だけに転校してきたと思う。
咲良は私を助けてくれようとしてるんだよね?
咲良が転校してきた時から分かってたよ。
お礼は、自分の事が全て解決してから言葉にして伝えるね。
「外も寒いし、どーぞ入って」
「ありがとうございます。お邪魔します」
咲良のお母さんは咲良の部屋まで案内をしてくれた。

