「菅野さん」
矢田君が駆け足で寄ってきた。
「あ、矢田君」
「今から原さんのお見舞いなんだよね?」
「そうだよ、矢田君は倉庫行くの?」
「ぼ、僕は倉庫には行かないよ」
あ、矢田君の立場で考えてなかった。
「原さんの家に着くまで一緒にいていいかな」
「え、咲良の家までわざわざ?」
「僕、暇だし家方向も同じだからね」
んーーー、家の方向が本当だとしても何か引っかかる…。
「もしかして、響希に頼まれた?」
「え、いや違うよ?」
うん、これは黒だね。一瞬焦りが見えた。
「矢田君、嘘つかなくていいよ」
「…ごめん」
「矢田君が謝る必要はないよ」
「響希がさ、近いうち何かありそうだから、できるだけ倉庫にいるようにするて言ってた」
「近いうちか…」
響希も何かを察しているんだね。
「だから、響希が菅野さんのそばにいられない時は、僕がいる。
僕じゃ力不足だけど菅野さんの事は絶対に守るから」
「そういう事なら…ありがとう」
矢田君には申し訳ないけど、私が矢田君を守る。
だけど、矢田君が本気で言ってくれてるのは伝わったよ。
「あ、ここで大丈夫だよ。咲良の家あそこだから」
「了解、じゃあまた明日学校で」
「うん、ありがとう」

